ルーレンの夜明け

       第80話 魔術学校への道程

本文へジャンプ



「君達魔術学校の新入生?」

教室に入ってきた男はマスクを取ってそう言った。


理緒たちがうなずくと、もう1人の男がおもむろに

空間からヘルメットとマスクを取り出し

「君達もつけて。」

と言った。

「知っての通り、魔術学校は日の出寮の生徒が少ないんだ。

 新入生も少ないけれど色々な理由で辞める生徒も多い。

 今回は3人かぁ・・・。とにかく、頑張ってやめないでね。

 自己紹介するけど、俺はライル。あそこの無愛想な男はガイと呼んでくれ。」

マスクを取った男はヘルメットを被りマスクをしている3人を見て言った。

「あっ。僕はケンです。」

「私はシスラです。」

「リオです。よろしくお願いします。」

3人が慌てて自己紹介するとライルは理緒を見つめて言った。

「君は目立つなあ。」

やっぱり一番背が低い理緒はやっぱりこの中では目立つらしい。



「あの・・・なぜこんな格好を?」

シスラが恐る恐る言うと、ライルが答えた。。

「日の出寮が少ないのは何も生徒だけでない。

 先生もほとんどいない状態なんだ。

 つまり、日の出寮の生徒は攻撃を受けやすい。

 しかも、それを止めたり庇ってくれる者もいないんだ。

 さすがに学校長である最高神官の前では穏やかにいるが

 普段は周りは敵だと思ったほうがよい。

 そこで、日の出寮の生徒は考えてこういう格好をすることにしたんだ。

 こうすると、顔もわからないから一人だけ虐めが集中することも

 あまりないからだ。」


「そんなに過激なのですか?」ケンが言うと

「残念ながらそうだ。」とガイがが重々しく言った。



「とにかく、魔術学校の敷地に入ってから狙われるから

 遅れそうになったら呼び止めてくれ。」

3人の新入生は2人について屋上に行くと、

2人は呪文を唱えた。



すると、目の前にドアが現れた。

「さあ、どうぞ。ここから魔術学校だ。」

上級生はそう言うと、大きく扉を開いた。

理緒は、向こうから火の玉みたいのが飛んでくるのを見て

「伏せろ!」と大きな声で言うと、前を行く新入生の2人を押し倒し、自分も伏せた。

すると、火の玉が数個飛んできて、扉のちょうど理緒たちの頭があったあたりの

場所にぶつかるとすっと消えた。

「リオ、よく気がついたね。助かったよ。」ライルはそう言って理緒の

頭を撫でた。


それから少し5人で歩いていたが、大きな落とし穴があったり

急に矢のようなものが飛んできたりとなかなか進まない。


「ここから5人固まって行くと危ないから、二手に分かれる。

 俺とはケンとシスラが来てくれ。そして、リオはガイに任せる。」

マスクを脱いだ方の上級生がそういうと理緒の方に上級生の1人が手を置いて

「飛んで平気か?」と聞いた。

理緒が頷くと、力強い腕が理緒の腰を抱きそのまま体が浮いた。


「すご〜〜〜い!!」

理緒が興奮して言うと「落ちないようにしっかりつかまれ。」

とガイが言った。

言葉はぶっきらぼうだが、理緒を抱える手はしっかりと腰を包んでいる。


しっかりつかまるとガイは高度をあげ雲の上に出た。

「ここでは雲の上は歩ける。」

ガイはそう言いながら雲の上を歩きはじめた。

雲の上は砂の上を歩いている感じだが、理緒はガイに続いてスタスタ

歩きはじめた。



「気をつけて歩いたほうがよい。どこからか攻撃が来るかもしれない。」

ガイはそう言うのと同時に理緒の頭の上にいた紫苑が

「キケン・・・キケン・・・。」と騒ぎ始めた。

「何か来るみたいですよ。」理緒がそう言うと同時にガイは再び理緒の腰を抱きあげて

空に飛びたった。


それと同時に2人の前に大きなカラスのような鳥が現れた。

その背に赤い髪の男と緑色の髪の男が乗っていてこちらに向けて

手を翳すのが見えた。


「チッ。」ガイは舌打ちすると理緒を庇うようにギュッと抱きしめた。

それと同時に2人の体は赤と緑の光に包まれ、ドーンっと大きな音と振動が

2人を覆った。




 BACK  NEXT 

 Copyright(c) 2007-2010 Jua Kagami all rights reserved.