ルーレンの夜明け

       第76話 学園生活の始まり

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次の日、朝食を終えた理緒は

フランに案内されて神学校の教室に向かった。

「年々、子供の数が減っているので、新入生も

 2クラスだけなのですよ。」
 
フランは案内しながらそう教えてくれた。


「2クラス?」

「ええ、初等科は寮によってクラスが

 変わるのですよ。」
 
「俺たちは日の出寮?」

「ええ。」

「ふーん・・・。」

「さあ、日の出寮の初等科の教室はここです。

 リオン、頑張ってくださいね。」
 
フランはそう言うと幼子にするように理緒の頭を撫でて

踵を返した。


理緒は教室に入ると教室には半分くらいの人がいた。

ほとんどが説明会の時一緒だった者で

数人ずつグループになっている。

理緒は周りの者の身長を見て小さく溜息をつくと

窓際の一番前の席に座った。

「おはよう。リオン。隣の席良いかしら?」

説明会の時も理緒の隣に座った碧の眼のアニスが

微笑みながら言った。


「おはよう。アニス。」理緒はそう答えながら

本に目を通した。

アニスは理緒と話をしたそうだったがあきらめた様子で

他のクラスメイトに声を掛けた。


しばらくするとギルスが来て、講義の説明を始めた。

神学校の初等科の授業は午前中だけであり、午後は自由時間だそうだ。

最初の2週間が過ぎ試験に合格すると、午後からは各種専修学校で

授業を受けることができる。


ローレンシャの学校の授業は全て少人数制のグループに分かれていて

そのグループ毎に教師が対応する。

そして2週間に1度の試験で実力を試し、その成績毎にカリキュラムが変わるらしい。


とりあえず明日、まずは第1回の試験が行われる。

全ての説明が終わり、何枚かの書類手続きが終わると

時間が少し余った。


「他に何か質問はないかな?」

ギルスが言うとアニスが手をあげて言った。

「ギルス大神官、化身様ってどんな方なのですか?

 お会いになられたのですよね。」
 
ギルスは一瞬理緒の方に視線を向けると

アニスに向かって微笑んで言った。



「ええ。時々お話しさせていただいております。」

「大神官様、化身様ってやはり、髪が黒いのですか?」

「そうですね。黒炭のように漆黒の髪をお持ちですよ。」

「どんな方なのですか?」

「見た目はとても可憐な方ですよ。」


・・・か・・可憐?・・・


理緒は激しく心の中で突っ込んだ。

「やはり優雅な方なんですか?」

「うーーん。どんな基準が優雅かわかりませんが

 とても優しい方です。」


・・・ギ・・ギルス・・楽しんでる・・・絶対・・楽しんでる・・・


「化身様はどんな毎日をお過ごしですか?」

「毎日、色々な勉強をなさっておいでですよ。

 その合間にには歌など歌われたり・・・。」
 
「歌って、どんな歌ですか?」


「最近できた聖歌は元々今の化身様が口ずさんだ音楽との事ですよ。」

「化身様を讃える歌ですよね。僕歌えます。」

後ろの方で説明を聞いていた生徒が立ちあがって

歌を歌い始めた。


〜〜化身様は私たちの光

  強くて明るい光

  ルーレンの全ての魂の母

  美しいその眼差しで

  ルーレンの未来を見つめる〜〜


・・・よりによって鬼のパンツの歌じゃないか?

   どんな羞恥プレーだこれは?・・・

   
理緒はその歌を聞きながら頭を抱えた。



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