ルーレンの夜明け

       第29話 過去への旅

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デュアスはゆっくりと腰を動かす。

ゆっくりとした動きがデュアスの存在を理緒に知らしめる。

またギリギリまで引き出し奥へと動かす。

痛みは既になかった。 

前から与えられる刺激で、中はすっかり溶けていく。


「はぁ・・・・・・・」

「いいか・・・・・」

「んん・・・・・っ」

腰をまわし、さらに奥に楔を突き入れ、ある一点を突いた。



「ああああああ!」

「・・・・くっ・・・」

突然のきつい締め付けに、一瞬デュアスは持って行かれそうになった。



「・・・・凄い・・・・・・リオ・・・・・・」

デュアスを絡め取るような動きに限界が近づく。

理緒の良いところを集中に突きあげる。

「ああ・・・・もっ・・・・・ああああ・・デュアス・・デュアス・・・」

理緒の欲望が弾け、前を濡らし、そのきつい締め付けにデュアスも理緒の奥に放った。

その瞬間2人を金色の光が包んだ。




それと同時にデュアスの体が理緒に重なるように倒れそのまま光となって消え、

理緒はそのまま意識を飛ばした。




理緒は、白い空間にいた。

正面に鏡がある。理緒はその鏡を見て驚いたように目を見張った。

目の色が菫色になっている。

「デュアス・・・。」

鏡の中の理緒の目はデュアスそのものだったからだ。



・・・リオ・・・俺は・・・お前の中にいる

俺がここにいることを認めてくれないか・・・


その時理緒の頭の中にデュアスの声が響いた。


「認めるって・・・どういうこと?

 デュアスがいなくなるということか?」


・・・いや、そういうことではないと思う。

すまん。言い方が悪かったかもしれない。

こうして、理緒の体に溶け込んで気持ち悪くないか?

受け入れてくれるか・・・。



理緒は鏡越しに菫色の目を見つめながら言った。


「気持ち悪くなんてない。」

そう言った途端理緒はぎゅっと後ろから引っ張られた。


「うわぁ。」理緒は手を前に出して何かにしがみつこうとしたが

つかむ物はどこにも無かった。



次に目を開けたとき、理緒はデュアスに後ろからぎゅっと抱き込まれた。

2人は空間に浮いていた。



その時、急に空間が明るくなり

5人の男に囲まれ寝台に横になっている黒髪黒目の男が嬉しそうな顔をしている。

にこやかに微笑む神官が白い布に包まれた赤ちゃんをその男に差し出すと

男は、手をその赤ん坊に翳した。

すると、赤ちゃんから5つの光が5方に飛び消える。



急に画面が切り替わり、先ほど寝台に寝ていた男が泣きながら

青い着物を着た首が据わった赤ちゃんに頬ずりをして

キスをしてから、額を赤ちゃんに擦りあわせると

金色の光が2人を包む。



それが終わると、男は何度も赤ちゃんにキスをして神官に手渡した。

その神官を見て理緒は小声で言った。

「あれは、俺だ。」

また、画面が切り替わって武器を持った兵士が

神官達を大きな剣で切りつける。


小さな赤ちゃんを抱いた神官は、必死に走り出す。

後ろから矢が飛んでくる。

神官はその中をひたすら走り、4人の神官が囲んでいる

サークルの中に入った。



4人の神官も傷だらけで瀕死の状態だ。

遠くから兵士の足音が聞こえる中サークルが光り、1人の神官が消えると

同時に4人の神官が矢を射られ倒れた。

「やめろーーー。」理緒が絶叫するがその声は届かない。



画面は変わり、神官に抱かれた理緒を呆然とした様子の義哉と美香子が

受け取っていると同時に神官が光と共に消えた。

それから、理緒の成長の過程がその空間に映った。



理緒はデュアスにあれこれ説明しながら一緒にその映像を見た。

理緒がルーレンに戻る場面になると、理緒の頬に涙が零れ

デュアスは優しくその涙を拭ってやった。




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