ルーレンの夜明け

       第27話 デュアスの意思

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その夜、マーシェがおやすみの挨拶をして部屋を出た後

理緒はベッドの上であぐらをかいて愛用のリュックから

ノートとシャーペンを取り出すと今日の日記を書きはじめた。



その時、壁だと思っていた所が開き、デュアスが入ってきた。

「どうしたの?デュアス?」理緒は驚いたように目を見張って言った。

「こんな時間に訪れてすまない。」デュアスはそう言ってベッドの傍の椅子に

腰掛けた。


理緒は日記をパタンと閉じてリュックに仕舞うと

ベッドの縁に腰掛けてデュアスを見あげて言った。

「デュアス・・・。騎士の儀式をしに来たんだろ?」

「えっ?」デュアスは言葉に詰まった。

「昼、ギルスが言ったとき、本当は俺知っていたんだ。

 ほら?俺向こうで軍隊に所属していただろ?

 その時にそういう世界があることは知っていた。

 でも・・・。」


「でも・・・?」

「俺のせいで、デュアスの将来を壊したくはない。」

「俺の将来?」

「デュアスだって、いろいろな将来の夢があっただろう?

 俺の騎士になることはその夢をあきらめなくてはいけない。

 俺はそれが嫌なんだ。」

「それは、違う。俺は、今の自分の仕事すら、

 なりゆきのようなもので、自分で自分の人生を決断すると言うことはなかった。

 しかし、リオと出会って、俺は初めて今までの全てを投げ出しても

 一緒にいたい。守りたいと思ったんだ。」



「デュアス、それは・・・女の人に言うことだよ。」

「女?なぜ、リオならだめなのだ?」

「だって、ちゃんと子供を作りたいとか、思わないのかよ?。」



「いや。俺はリオのことが好きだから、それに男同士の結婚はなくはない。」

「なんだって?」リオはベッドに座りなおして言った。


「ああ。ちなみに俺はリオで抜ける。」

「いや・・・デュアスさん・・・そんな真面目な顔で言わなくても・・・。」

理緒はさすがにうろたえながら言った。


デュアスは急に椅子から立ち上がると、理緒の足元に跪いた。

「デュ・・デュアス?」

「リオどうか、俺にあなたと一緒の時を過ごさせてほしい。

 世界樹の化身ではなく、リオ、あなたの為に、俺が傍にあることを

 受け入れてほしい。」


「デュアス。」そう言うと理緒は、ベッドから立ちあがって

デュアスの前で膝を折った。

「デュアス・・・俺、デュアスがそう言ってくれたことはすごく嬉しい。

 でも、正直俺自身の気持ちがわからないんだ。

 俺、デュアスのことは好きだ。でも、それがどんな好きかはわからないんだ。

 それに、今俺自分のことでいっぱいいっぱいなんだ。」



「その気持ちだけでいい。リオ、どうか俺を受け入れてくれ。」

デュアスは、そう言いながら理緒の手を握った。

理緒はデュアスの菫色の目を見つめて小さくコクンと頷くと、デュアスは

理緒をぎゅっと抱きしめてかすれた声で「ありがとう。」と言った。



デュアスは力技で、そのまま理緒を抱きあげベッドに座らせると

「ずっとこうしたかった。」と囁きながらそのまま理緒を押し倒した。



「あの・・・デュアス・・・?やっぱり、俺が抱かれる?」

「リオ・・・怖いか・・?」

デュアスはそう言いながら理緒の顔を両手で包んで

優しく顔じゅうにキスの雨を降らせた。

「怖いというより、緊張する。」

理緒がそう言うとデュアスはクスリと笑いながら



「力を抜いて、俺に全てゆだねてくれ。

 その・・優しくする。」

と言った。

その眼差しはとても優しくて、自分のことを慈しんでくれるのが

すごく伝わってきて、思わず理緒はデュアスの首に手を回して

自分からデュアスの口にキスを仕掛けた。




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