眠る君へ捧げる調べ

       第2章 君ノ眠ル地ナバラーン〜蒼龍編〜-6-

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『慧・・・私の愛しい人。』

暖かく包み込む声が聞こえる。

『龍星さん?』

『慧・・・。』



目の前に金色の髪の男が現れる。

それでも慧にはその男が龍星だとわかった。

『龍星さん』

慧はその男に抱きついた。

『よくわかったね。慧』

龍星はそっと慧の頭を撫で、慧をふわりと抱きあげ

膝の上に抱えた。



慧は一生懸命その首にすがり、抱きついた。

『会いたかったよ。』

慧はそう言いながら、自分からキスをする。

体が小さくなっているから、それは少年が兄にでもキスをしているような光景だったが

男は嬉しそうに微笑みながらキスを返した。



『慧・・・私の名前を教えよう。

 私の名はリューゼナイト・ラン・ナバラーン。

 リューゼと呼んでくれ。そう呼ぶことを許すことをわかってほしい。』

『リューゼ。早く会いたい。』

『ああ。この15年は慧にとって長いものであるだろう。

 しかし、私の在る世界を知って欲しい。愛してほしい。』

『リューゼ。』

『慧・・いい子だ。私に会いたいときはリュークみたいな金の玉を持った者の

 腕の中で休むと良い。ああ、もう時間だね。』


『リューゼ・・・リューゼ。お願い。キスして・・。』

慧はリューゼの首にすがりながら言った。

『ああ。慧。私も離れがたいよ。小さな慧も可愛い・・・

 慧・・・夢でしか会えないが愛しているよ。』

リューゼは、慧の顔を上向かせ軽いキスを繰り返す。

そのうち2人の体が光りで溶け合った。



誰かに頭を撫でられる感覚に慧は目を開けた。

「ケイ・・大丈夫ですか?」

ファルの声が聞こえる。

「あっ。ごめんなさい・・」

慧はリュークの膝の上だということに気がついて言った。

「気にしなくて良いんだ。私のように金の玉を持っているものは

 金の龍人に場所を与えるようになっているのだよ。」

リュークは、慧を抱き寄せて言った。


「それは、リューゼもいっていた・・・よ。」

そう言う慧にリュークは驚いたように言った。

「龍王様はもう名を・・。」

「はい。リューゼ・・・。」

「全てを言ってはならない。龍王様の真名は、知っているものは我々金の玉を身につけているもののみ。」


「リューク様・・。」

「ケイ、私のことはリュークと呼んでくれ。」

「そんな年上に失礼です。」

「いや。そんなことはない。それよりもケイ、君には私の祝福を与えた。」

「しゅ・・く・・ふく?」慧は眉をよせて言った。

「簡単に言うと私達が使う術を使えるのだ。ファルムに習いなさい。」

「ファル・・?」慧はファルの方に顔を向ける。

ファルはにっこりと微笑んで慧の頭をそっと撫でて言った。

「ケイ・・・私の術のすべてを貴方に教えましょう。」




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