眠る君へ捧げる調べ

       第10章 君ノ眠ル地ナバラーン〜王宮編〜-18-

本文へジャンプ




慧が落ち着くとリューゼはそっと慧を離し、

足元に跪いた。

「慧、君の人生を狂わせ、傷を負わせたこと許してほしい。

 それでも、どうか永久に傍にいてくれるだろうか。

 ナバラーンと共に生きてくれるだろうか?」


慧は首を振りながら自分も跪いて言った。

「確かに、龍星さんが亡くなった時は

 本当に苦しくて目の前が真っ暗になった。

 それでも、俺はいろんなものをリューゼから貰ったんだ。」

「私に?」


慧は頷いて言った。

「銀の龍達との出会い。

 当主初めナバラーンの人々との出会い。

 全てが俺の為だったって知っている。」

そう言って慧はリューゼの手を取って金色の目を見つめて言った。


「私佐伯慧は、永久にリューゼの傍を離れないことをここに誓います。」


リューゼは、慧をそっと抱き寄せた。

リューゼの整った顔が近づいてくる。

慧はそっと目を閉じた。


リューゼの唇が優しく慧の唇に合わさる。

その唇は貪欲になり慧の全身の力が抜ける。

唇がピチャピチャと音をたてたかと思うと慧の歯茎をリューゼの舌がなめ回す。


「あ・・・・っ。」

慧の口から喘ぎが漏れたが慧は今度は自分の舌をリューゼの

口にねじいれ今度はリューゼの口の中をなめ回す。

唇を離すと慧は微笑みながら言った。


「ふふふっ。やっぱりリューゼと龍星さん同じ人だ。

 だって、キスのしかたそっくり。」

リューゼも微笑んで

「慧は、最初の時よりキスが上手になったね。」

と言いながら、バードキスを慧の唇に落とした。


「むっ。誰のせいなんだよ。」

「くくくっ。私のせいか?」


2人はクスクス笑いながらどちらからともなくキスを繰り返した。




「さて、慧・・・私はこうしてずっと2人でいたいが

 そうするわけにはいかなそうだな。」

リューゼは体を少し離して夜着を着ている慧の肩に綺麗な布を掛け

手を差し出した。

「そうだね。皆待っているよ。」

慧はそう言いながらリューゼの手に手をあわせる。



ナバラーンの歌が流れる中2人はゆっくりと

金の扉の方へ歩いた。



   幸せの地。(ナバラーン)

   ナバラーンに祝福を。(愛を)

   愛する地。(ナバラーン)

   ナバラーンに祝福を。(愛を)

   ナバラーンに幸せを(祝福を)

   ナバラーンに愛を。(幸せを)

   永遠に (ナバラーン)

   ナバラーン(祝福を 愛を)

   ナバラーン(永久に)



   いつまでも響け。(愛する地ナバラーンの歌)

   幸せの地。(ナバラーン)

   ナバラーンに祝福を。(愛を)

   愛する地。(ナバラーン)

   ナバラーンに祝福を。(愛を)

   ナバラーンに幸せを(祝福を)

   ナバラーンに愛を。(幸せを)

   永遠に (ナバラーン)

   ナバラーン(祝福を 愛を)

   ナバラーン(永久に)

   ナバラーン。ナバラーン。



リューゼは、扉の前で慧をぐっと引き寄せ熱いキスを唇に落とし

慧の肩をぎゅっと抱くと、扉を大きく開けた。





  BACK  NEXT 

 Copyright(c) 2007-2009 Jua Kagami all rights reserved.