眠る君へ捧げる調べ

       間章 ツカノ間ノ再会

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慧は真っ白い空間の中でふわふわ浮いていた。

「慧・・・。」

なつかしい声をした方を見ると忘れもしない龍星の姿があった。



「龍星さん?」

まだ別れてそんなにたっていないのにずっとたったように思える。

慧が手を伸ばしても手が届かない。



「慧・・ここは世界の狭間。

 少し、君に私の世界の話をしようと思ってね。」

「龍星さん・・お願い・・・話ちゃんと聞くから抱きしめて。」

龍星は近くに来るとふわっと慧を抱きしめた。




「慧・・時間がない・・前・・私は君とファンタジーな話をしたよね。」

「うん。」

「簡単に言うと、そのファンタジーの私が龍王なんだよ。」

「じゃあ、もしかして俺は少年?」

「ああ。そうだ。そして、慧のことについて説明する。

 たぶん、あの世界に行くと慧に変化が起きる。」

「変化・・・?」

「それは行ってからのお楽しみだ。そして、これからが本題。

 君が19歳になった時、おふれが出るだろう。

 龍王を愛するものは城に集まるようにと。

 それで、慧が来てくれたら私に会える。」

「19歳?計算が合わない。」

「クククッ。まあ、行ってから悩め。それと、慧は龍人になるから。」

「龍人?」

「ああ。私の熱い命を体に受けたのだ。」

「ちょっと・・龍星さん・・そんな話しないでよ。」

慧は真っ赤になって龍星を見あげて言った。

「事実だぞ。」


「あっ・・龍星さん、俺・・男だけど・・。花嫁って女でしょ?」

龍星は微笑みながら言った。

「龍王の妻は男でも良いのだ。

 むしろ龍王の妻は男の方が多かったくらいなのだ。」

「そうなんだ・・。じゃあ、安心して会いにいけるね。」



「ああ。そして、慧・・ここでお前の願いを叶えてやろう。

 力でも魔法でも武器でも欲しいものを言いなさい。

 叶えよう。」

「俺の願い・・・じゃあ、龍星さんにキスしてほしい。」

「キス?」

「だってずっと会えないんでしょう?だからキス。」


龍星は穏やかに微笑んだ。

「慧・・目を閉じなさい。」

慧は目を閉じた。龍星の唇が慧の唇に触れると舌が慧の歯茎をなぞった。

慧も舌を絡める。

「龍星さん・・俺・・幸せ・・。」慧は微笑みながら意識を失った。

龍星は慧の体を軽々と抱きあげた。


それと同時に紺色の龍星の髪は長くなり金髪になる。

目の色も琥珀のような色に変わり服もゆったりした白い服になった。


「慧・・・私の祝福をあげよう・・・

 私の祝福は目に見えないものだが大きな力・・・・

 愛しているよ。」

そう言うと龍星の目は黄金色に光り、光の粒が慧の肩に吸い込まれ

小さな金色の龍の痣になった。

「私の慧・・・待っているよ。今度この腕に抱きしめたらもう離さないから。」

龍星は、慧の唇にキスをするとそのまま金の光に溶けるように消えた。



慧の体は静かに下降する。

それは、とても不思議な光景だった。

慧の周りを綺麗な歌が包む。


「金の龍に祝福された愛しい子よ。

 この世界ナバラーンの祝福を・・・。

 ここを通った子で愛し子はただ1人

 この世界に属しているものを全て作りし龍の王。

 その血・・想いを全て受け継いでいるもの。

 それが金龍。

 金龍の祝福はこの世界の祝福。

 ナバラーンの祝福を・・・愛し子に。」



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