君と僕らの三重奏

       第8章 家族の温もり −2−

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「「おはよう、樹珠愛(様)」」

数日後、樹珠愛はいつもと同じように目を覚ました。


昨夜は、和道と西條と一緒に眠ったので熟睡した。

「う・・・ん・・・おはよう。」

まだ眠くて目を擦っている樹珠愛の両頬に

西條と和道は、キスをしながら言った。


「「誕生日、おめでとう(ございます)。」」

樹珠愛はきょとんとした顔をして

嬉しそうに2人の頬にキスを返して微笑んだ。




「樹珠愛、誕生日おめでとう。これ、プレゼント。」

学校に行った樹珠愛は教室で紅子にまっさきにそう言われ、

箱を差し出された。


「ありがとう。開けて良い?」

樹珠愛は紅子からもらった箱を開けた。

「フォトフレーム?」

樹珠愛はそう言いながら中身を取り出した。


「ああ、デジタルフォトフレームと言って何枚も写真が入るんだ。

 たくさん、写真が増えるように願いを込めて・・・な・・。」

紅子はそう言いながらスイッチを入れると紅子の家で花見の時に撮った

写真が出てきた。

「ありがとう。紅子。」

樹珠愛はそう言いながら授業が始まるまで嬉しそうにその写真を見つめていた。




放課後、紅子と一緒に校門を出ると、いつものように2人の家の迎えの車が待機していた。

「紅子、今日はありがとう。また、明日ね。」

と挨拶して自分の迎えの車に乗ろうとした時、

紅子の車から真田が降りてきて樹珠愛を呼び止めた。


「樹珠愛様。」

振り向くと、目の前に大きな花束があった。


「誕生日、おめでとうございます。

 これは、私と舎弟のほんの気持ちです。」

「わあ、綺麗。真田さん、ありがとうございます。」

樹珠愛はそう言って微笑むと真田は少し照れたように咳払いをして

立派そうな箱を取り出して差し出して言った。


「これは、上村からです。」

「師匠が?」

紅子の家には、剣道と柔術、世界の他の武術を合わせた独自の武術の道場がある。

そこの道場は競技ではなくより実践的な武術を推奨している。


樹珠愛は、その道場で定期的に紅子の婚約者である上村光輝に武術を習っているのだ。

「ありがとう。師匠にもお礼を言ってくださいね。」

「かしこまりました。」

樹珠愛は真田と紅子にもう一度お礼を言って車に乗った。





車は本宅の方に行っているが、道が違うようだ。

「あれ・・・この方向違う。鈴木さん?」

と運転をしている男に聞くと、

「お嬢様、和道様がお待ちですので・・・。」

と言った。


しばらく車は走ると緑の豊かな公園の中に入る。

「あっ。本社が見える。」

樹珠愛は窓越しに東条コーポレーションを見つけてそう呟いた。

車はしばらく走ると公園の中に建てられたマンションのエントランスでとまった。





 
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