君と僕らの三重奏

       第3章 広がる出会い −3−

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「おかえり。晃。」

「ただいま。栞。」

どちらからともなく、2人はキスを交わす。

栞の片腕は晃の腰に、もう一方の手は首に回される。

「は・・ん・・・し・・・おり・・だめだよ。」

晃は軽く喘ぎながら言った。

「ほんと・・可愛いな。」栞は晃の髪の毛をなで

そのまま一緒にソファーに腰掛ける。

もう一度濃厚なキスを交わした後、晃はシャワーを浴びにバスルームに行った。

シャワーを浴びて出てきた晃はリビングで本を読んでいた栞の横に座り、

その横顔に軽くキスをする。



「さすが、栞。夕方樹珠愛様が会社に顔を出されたけど

 一瞬誰かわからなかったよ。」

いつもは丁寧な言葉遣いの橘だが栞の前では普通だ。

「そうか?晃にそう言われるのが一番嬉しいな。

 俺にも女という人種に慈しみを感じる心はあったようだよ。」

「何だか栞楽しそうだね。

 じゃあ、西條さんにも言われたから樹珠愛様の説明するね。」

「ああ。」

栞は、橘の肩を抱き自分の方に引き寄せる。


「今。樹珠愛様は和道様と西條さんと一緒に住んでいるんだ。」

「ちょっと待て。本当か?和道様と一緒に住んでもあんま気にならないが

 俺でも西條さんは正直一緒に住むのは嫌だな。」

「まあ、それが普通の意見だよね。西條さんはすごい人だけど

 一緒にいると緊張するものね。」

「でも樹珠愛ちゃん、和道様と仲良さそうだったなあ。」

「そうだね。西條さん和道様の前では優しい顔になるよね。

 それが樹珠愛様の前でもそうなんだよ。樹珠愛様が

 言うには妹か娘カテゴリーに登録されたんだって。」

栞がそれを聞いて大きな声で笑った。




「ああ・・その気持ちは良くわかる。俺も樹珠愛ちゃんは

 妹カテゴリーだもんな。でも何で、一緒に暮らしているんだ?

 インテリアデザイナーのSHINの娘なんだろ?」

「これは、本当に限られた人だけが知ることなんだ。

 今知っているのは、東条社長、和道様、西條さんと私だけだ。

 西條さんは、もし西條さんや和道様がそばにいない時、

 樹珠愛様を支えてほしいと今日の夕方全てを私に話してくれた。

 今まで私が知っていたことは確かに他の人より多いけれど

 それでも全てでなかった。正直、私もこの話を消化できてないよ。」

栞は励ますように橘の手を握った。



「樹珠愛様のお母様は、東条社長の義理の妹さんで、

 マクスウェル社って聞いたことあるだろう?

 そこの御曹司と大恋愛して結婚して樹珠愛様が生まれた。

 でも、ありがちな話だけどその結婚に恨みを持っている人が

 いたらしくて、樹珠愛様が4歳の時に母子は強盗に襲われて

 狙撃されたんだ。お母様は樹珠愛様を抱きかかえて絶命したらしい。

 その現場を偶然に通りがかったのが、キース・バートンと言う天才医だった。」

「キース・バートンってあの20世紀の最期の奇跡と言われた?」

「ああ。キースは撃たれた母子のそばに行って見たが、母は絶命していたそうだ。

 しかし、樹珠愛様はかすかに息をしておられたらしい。それで、すぐに自宅に

 連れ帰り、緊急手術をしてどうにか助けたそうだ。樹珠愛様の体には

 何個も銃創があって、手術を重ねて体が良くなった時には

 5歳を過ぎていたらしい。

 ここで、何でキースが樹珠愛の父親に連絡しなかったのか不思議だろう?

 それは、樹珠愛様がうなされて言った言葉が原因だそうだ。

 樹珠愛様は、犯人の顔を知っていた。

 その人は母のSP、殺人の依頼者は父の秘書だったそうだ。

 そして、樹珠愛様の父親は、その秘書と結婚していた。

 それでキースは、樹珠愛様の父親ではなく、東条社長に接触してきた。

 社長は樹珠愛様を引き取りたいと言ったそうだが、キースは樹珠愛様の精神状態が不安定だと

 いうこと。父親が真実を知ると樹珠愛様は父親に引き取られ命を狙われる危険性があると言い、

 自分が育てると社長に言ったそうだ。それは、キースも彼のパートナーであるSHINこと佐々木

 慎吾も樹珠愛様のことを家族として受け入れているし、樹珠愛様の体もまだ数回手術が必要ということ、

 そして、樹珠愛様には才能がありそれを伸ばしてあげたいと言った。

 それで、社長は定期的にキースが樹珠愛様のことを報告することを約束させて別れた。それから

 樹珠愛様はキースと佐々木慎吾に育てられた。そして、キースは自分が伝えたいことを樹珠愛様に伝え、

 樹珠愛様は9歳で医師免許を持ち、大学院も終わっている。一方、6歳からはキースと共同研究者として

 名前を連ねていたらしい。もちろんキースが名を馳せたプログラムの方でも樹珠愛様の功績は大きい。

 しかし、騒がれなかったのはキースの情報操作が天才的だったからだ。SHINがキースのパートナー

 ということも一部の友人以外には悟らせていなかった。

 キース自身がテロ組織や国家にその才能を狙われて

 いたので、3人は世界中を転々としながらも幸せに暮らしていた。しかし、樹珠愛様が12歳の時に

 火事でキースとSHINは亡くなったらしい。ところがその時期、SHINは体調不良のため仕事を休業する

 というメールが流れただけ。キースにいたっては、表には出ないが彼の名でソフトが出ているんだ。

 そして、去年の春にSHINの死の噂が流れ、秋にキースが死んだ噂が流れソフトも出ていない。ソフトの

 メンテだけは、別の人に譲ると言う委任状が去年の春に流れた。西條さんの話ではこの空白の時

 全てを樹珠愛様が一人でやっていたのではないかと言う事だ。」

「ちょっと待て。何でそうする必要があったんだ?」

「去年の4月にもう一人重要人物が亡くなっている。それは、ディーン・マクスウェル。樹珠愛様の父だ。」

「じゃあ、樹珠愛ちゃんは一人でキースの代わりに仕事をしながらそれを待っていたということか?」

晃は静かに頷いた。



「そして樹珠愛様は今でも過去を引きずっているらしい。」

「どういうことだ?」

「一つは、不眠症。ぐっすり眠れるのは、西條さんと和道様と一緒に眠る時だけ。

 後はソファーで休むだけだそうだ。そして、先日は発作のように過去を思い出した

 らしい。どうやら、4歳の時の事件の夜に雷が鳴っていたらしい。」

「晃・・・?」栞は晃を引き寄せて優しく髪を撫でる。

晃の目は涙でいっぱいだった。




「栞・・・俺・・最初はあの子を疑った。そして、あの才能が羨ましいと思った。

 でも・・・今日それを聞いて苦しかった。すごく苦しかったんだ。」

「ああ。」

栞は晃にキスをした。たくさん・・・。




「今日、樹珠愛ちゃんが言ったんだ。今日人に触れた分、恋人にキスしてね。って。」

「良い上司でしょう?」晃が栞を見あげて言う。

「ああ・・・。晃・・・。」

「ああ・・・・・・や・・・・っ・・・・・・」

 晃の声が響き渡る。


 栞は顔を移動させ、Tシャツをめくると胸の飾りを挟み舐め上げる。


 片方の手を晃の立ち上がった楔に絡めゆっくりと動き晃を追い上げる。


 先端からにじみ出た蜜。 

 クチュクチュという音が晃を高めて行く。

「んぁ・・・・だめ・し・・おり・・・・」

「かわいい・・・晃・・・もっとこっち向けよ。」


「・・・・あ・・・・・しおり・・・だ・・め・・・」

栞から離れようと必死で動くが、両手で腰をガッシリと挟まれて身動きができない。 

「う・・・ん・・可愛い・・晃・・・。今日はとことん愛してあげるよ。」

晃は嬉しそうに微笑むと栞の首に腕を巻きつけキスをした。


 
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