君と僕らの三重奏

       第1章 君と僕らの出会い −7−

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「樹珠愛ちゃん、やっぱり翠ちゃんの子。かわいいわあ。」

クレール総帥が出て行った後、社長は樹珠愛に抱きついて言った。

(おねえ言葉?)



社長のあまりの豹変に固まった樹珠愛を見て西條が言った。

「社長、樹珠愛様が固まっていますよ。」

「親父、離せよ。」と和道が樹珠愛を引き剥がした。



「ごめんねぇ。樹珠愛ちゃん、これが私の素なのよ。

 本当に会いたかったの。キースからずっと写真もらっていて。」

社長は、そう言うとキャビネットから何冊かの大きなアルバムを取り出して差し出した。



樹珠愛はソファーに座ってアルバムをめくりはじめた。

最初の方はもう顔もあまり覚えてない父と母と自分。

幸せそうな雰囲気が伝わってくる。



途中からキースと慎吾と樹珠愛の写真になった。

キッチンで慎吾と一緒に料理をしている写真。

3人でビーチに寝そべっている写真

モンブランに登った時の写真。

写真の他にも小さな子供が描いた絵などがアルバムにはられている。


「家には一枚も写真が無かったの。でもキースはいつもカメラを持っていたわ。

 こういうことだったのね・・・。」

樹珠愛は、そう言いながらページをめくる。



「これは・・・。」

アルバムの最後の写真・・・

それは、キース達が死ぬ数日前にレストランで撮った1枚。



その日は慎吾の誕生日で、樹珠愛とキースがろうそくを吹き消そうと

している慎吾の両頬にキスをしている写真だ。





「ひょっとして、キースが接触を断っていたのですか?」

樹珠愛が社長の方を見て言うと社長は頷いて言った。

「ええ。貴方のお父様が生きているうちは接触したらあなたの親権をお父様がとるでしょう?

 そしたらまた、樹珠愛ちゃんを危険にさらすからね。」

いかにもキースが考えそうなことだ。

「それに、碧ちゃんは東条の籍に入れなかったから・・いまいち弱いのよね。

 ごめんねぇ。本当はもっと助けてあげたかったんだけどね。」

「いえ。わかります。そう思ってくれるだけで嬉しいです。」

樹珠愛が頷きながら答える。

「それでも翠ちゃんのこと他人だって思ったことないのよ。

 大切な妹だったわ。だから、樹珠愛ちゃん最初は慣れないかもしれないけど

 よろしくね。近いうちに家の方にも遊びに来てね〜樹珠愛ちゃんに会いたいって

 言っている人いるから・・。 あと、気づいたと思うけど、私もゲイなの。大丈夫かしら?」



樹珠愛は笑いながら言った。

「それは慣れていますよ。キースほどの節操なしはそうそういないですからね。」

「え〜〜キースって鬼畜だったの〜ぉ。」

「もう、獣でしたよ。絶倫。」

「すごいわぁ。じゃあ、あの2人はまだまだひよっこねぇ。」

「そうそう・・やっぱり人前でディープキスの1つもしなきゃ。ねぇ。」

「あ〜〜ら、私だってできるのに和道ったらオ・ク・テ」


社長と樹珠愛はキャッキャッ笑いながらその話をしている。

和道はそんな二人を遠い目で見つめている。

西條はくすっと笑って「和道様・・。」と言いながらディープキスをした。

「な・・・なにすんだよ〜〜。」和道は怒ったように西條の胸を叩く。


それを見て樹珠愛は面白そうに微笑んだ。

「社長・・・。」

「いやーん。樹珠愛ちゃんたら、社長じゃなくて隆道さんでいいから〜。

 何だったら、隆道パパでも、お父さんでもいいわよ。一押しは隆道パパvv」

「じゃあ、隆道パパ、和道君キス下手ですよね〜〜。」

「樹珠愛ちゃんもそう思う?」社長もノリノリで言う。

「西條さんはテクニックありって感じですね〜。」


「そこ〜人のキス見て解説するな。」

和道が真っ赤になりながら怒鳴った。


 
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