君と共に紡ぐ調べ

       第7章 名定マル刻 −4−

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「クリューーー。」

「キューン。」

「ガルルルルル・・・・。」

「グオォオオオ・・・。」

「ゴォォォォーーー。」

「シャーャーーー。」

「ヒューン・・・。」

「ルルルルル・・・。」



小龍達が飛び交う結界の中で慧は久しぶりに人型になった銀龍たちと

お茶を飲んでいた。


リューゼと当主達は龍の姿で小龍達と遊んでいる。

今は大きなリューゼの背に小龍達が乗って楽しそうに空を飛んでいる。



「ねえ、不思議だったんだけど何で小龍達には名前がないの?」

慧が不思議そうな顔をして聞くとファルが答えた。


「元々、小龍は隔たれた場所でそれぞれの特性を学び育って行きます。

 むしろ、その時は本能で生きるので名前が邪魔になるのです。

 だから、近々のうちにこの結界には来れなくなります。

 自ら人型になるまでは、ひたすらその龍について知るのが

 次期当主としての最初の仕事なのですよ。」


「そうなんだ・・・・。寂しいな。」

楽しそうに空を飛んでいる小龍達を見あげながら慧はそう呟いた。



「それで、名前なのですが・・・名は普通では当主が決めることになっております。」

ニコライが口を開いた。

「例外もあるの?」

「太古、初代の時は龍妃様が名をつけたという記述がありました。」



「そう?」

「だから、ケイにお願いがある。」ジークが口を開いた。

「なあに?」慧はお茶を飲みながら言った。



「ケイ、我らの子の名を考えて欲しい。」ジャンが言った。

慧は、驚いてお茶を噴出しそうになりながら言った。

「だって、当主が決めるでしょう?」


「いや。ケイ。是非決めて欲しい。ガイは、命名センスがない。

 今だって、坊主のことをウリ坊と呼んでいる。」

アルが真面目な顔をして言った。



「ウリ・・・坊って・・・。確かに・・・紅龍の背は模様が入っているけど・・・。」

慧は頭の中でウリ坊のぬいぐるみを思い浮かべて言った。



「それを言ったら、うちの親父だってそうだ。

 小龍をマンボウと呼んでる。」

アハドがそう言う・・・。


「マンボウ・・・って・・・ナバラーン語だとのろまだよね・・・。」

慧が複雑そうな顔をして言った。


頭の中をまぬけ顔したマンボウがよぎる・・・。

・・・そう言えば・・・イツァークの向こうの部屋に

おやじな魚男のゲームあったよな。可愛いとか言ってやっていたような・・・・

慧はそう思いながら眉間に皺を寄せた。



「僕の父様なんて、ルネ・ルイと来たからルルだって言うんだよ。

 そんなついでみたいの可愛そうでしょ?」

ルイが口を尖らせて言う。

なんだか、風邪薬のようだと慧も思った。



「俺の父は何を思ったか、饅頭と呼んでる。

 何でも白く丸まっているからだそうだ。」

饅頭なら、あの丸まり具合は大きな肉饅かも・・・

サイシュンの言葉を聞いて

慧の頭をそうよぎったが慌てて首をブルブル振った。





「それで、名を考えているわけか?」

夕方、部屋に帰ってから紙を前に考え込んでいる慧に

リューゼがそう言った。


「うん。命名って難しい・・・。」

慧は眉を八の字に寄せながら言った。

「まあ、小龍の名はおいおいで良いだろう。それよりも・・・。」




慧はリューゼ押さえつけられ、更に舌を絡み取られる。


「あっ・・・ん・・・」

わざと音を立てて舌を吸いあげられれば、いつものように頭の中が真っ白に

なりそうなほどの快感を感じていた。


リューゼは歯列を割って舌を絡ませて、何度も角度を変えて慧の口をむさぼる。

慧はただただ、夢中にリューゼに手を回ししがみついていた。



「慧・・・何か言うことは?」

リューゼはにっこりと微笑みながら言った。



「リュ・・・ゼ・・・抱いて・・・。」

リューゼは嬉しそうに微笑みながら慧をひょいっと抱きあげて

寝室の方へ消えた。




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