君と共に紡ぐ調べ

       第4章 金ノ卵 −6−

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「ところで、龍の兄弟の順番は決まったの?」

珍しく一緒に皆で夕食を食べている時慧が言った。

「それがですね・・考えてみると難しいのですよ。」

ニコライがそう言いながら紙を取り出した。

「希望は、こうです。」

そこには


1 蒼龍
2 桜龍
3 翠龍
4 白龍
5 闇龍
6 紫龍
7 黄龍
8 紅龍


と書いていた。



「へ〜〜〜この順番は?」

「ファルが独断で決めたんだ。」

サイシュンが言った。

「ファルの独断・・・。何だかその時の様子が目に浮かぶような

 気がするよ。」慧は苦笑しながら言った。


「しかし、問題があるんだ。」ジークが言った。

「何?」慧が不思議そうに首を傾げた。


「龍の種類によって卵を守る時間が違うようなんだ。」

アルが言った。


「はあ・・・?ちょ・・・ちょっと待って!それどういうこと?」

「龍によって卵が孵る期間が違うのですよ。

 一般に紅龍・黄龍・闇龍は孵るのが早く、

 紫龍・桜龍は遅いとされております。

 記録によると、ガイは、一番最後の卵だそうだ。」


「ファル、そうなの?だって、ガイは4番目でしょう?」

ルイが驚いたように言った。

ちなみに当主達はリューク(蒼龍)ロベルト(黄龍)

リンエイ(白龍)ガイ(紅龍)フェル(闇龍)

イアン(桜龍)イツァーク(翠龍)ルネ(紫龍)の順番だ。



「だからか・・親父・・・。」アルが疲れたように呟いた。

「どうした?アル?」アハドが聞いた。

「最近、とかげ酒とか、蝙蝠の燻製とか持って来て、

 滋養に効くとか、言うんだ。そしていつも、

 俺は4人抜けしたから、7人抜けを目指せとかなんとか・・・。」

「そう言えば、ロベルトも珍しい薬用酒やたらと持ってくるなあ。」

ジャンも疲れたような顔をして言った。


「あの2人は思考回路がそっくりですからね。」

あきれたようにニコライが呟いた。


「本当に、後は天に任せると言うべきなのでしょうね。」

ファルが肩をすくめて言った。


「ちなみにファルさん、金龍は、どのくらいで孵るの?」

「たぶん、10年くらいかと・・・・。」

「えっ?じゅっ10年!!」

驚いたように慧が言う。


「だって我々のような龍でも平均5年は掛かるのですよ。

 龍王様の場合は、体の中で龍の形から人の形に変わりますので

 そのくらいは・・・。」

「ファル・・・?龍ってひょっとして?」

慧はおどろいたように聞いた。


「ええ。龍の形で生まれます。

 赤ん坊の人型をとるのに1〜2年くらいはかかります。

 そして、龍王様は人型でお生まれになるので

 人型としては、普通の兄弟くらいの年齢差になるのですよ。」


「う・・・っそ・・・じゃあ、龍の結婚する人は?」

「ああ、ケイもそうですが、龍の精を受けると寿命が

 格段に伸びます。そして、人が産むのは龍人ですから

 人型で生まれます。ナバラーンで龍を産む人は

 龍妃だけですからね。」


「そうか・・そうだよね・・・。」

慧は乾いたような笑い声をあげた。




「紅龍は、本当はもっと生命力強いはずだ。」

「う・・・・ん・・・そう・・なの?」


「ああ。前の龍妃の事件があった時、紅龍の核卵は不完全だったんだ。

 でも、卵は成長し、ガイが生まれた。

 それだけ、紅龍の生命力は強い。」

「う・・・ん・・リュ・・・ゼ、この体勢で話をしなくても・・・。」


慧はリューゼの膝に抱えられ、楔で貫かれているのだ。


「最近妃とは、あまり話しをしてないからな。」

「あ・・・ん・・・だって・・・リュ・・・ゼ・・・

 いつも抱いて・・・あ・・・・ん。」

リューゼが一気に腰を使いはじめ、言葉が続かない。


「ケイ・・・・」

「ああ・・・・ん・・・リューゼ。」

2人は抱きしめあいながらはてた。



リューゼは、力の抜けた慧をそっと抱き起こした。

いつもなら、慧は意識を飛ばしている。

しかし、今日は小刻みに震えだした。


「け・・・慧?」

リューゼはシーツで慧を包み、大股でバスルームを抜け

別の寝室に行くと慧を抱えたまま廊下に通じるドアを開けて

大声でリュークを呼んだ。

「リューク・・・早く来てくれ。」




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