君と共に紡ぐ調べ

       第3章 過酷ナ3日間 −4−

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慧は、桜龍の力の源を知った。


それは、真摯な祈り、尊い願い。

その力が慧の体をめぐりそして力となる。

慧の体金色に光り、金色の光が会堂全部を覆う。


すると、ミサに参加した者全てが体の底から

力が沸いてくる感覚がした。

桜龍は思わず皆、膝を折り

感謝の祈りを慧に捧げた。



そして、ミサの最後にイアンが龍妃様のお言葉を戴きたいと

言ったので、慧は前に出て言った。


「桜龍の皆様、今日は皆様とこうしてお会いできて本当に

 嬉しゅうございます。


 龍の中で一番素敵な名前だと思うのが桜龍で、この桜と言うのは

 私が大好きな花の名前です。


 そして、その名前の通り、桜龍は花や草木を愛でる龍であるともに

 ナバラーンの人々の幸せや平和を愛し、願う龍でもあると思います。


 願いと言えば小さいかもしれませんが、その願いを一つの形にしたものが

 子供達にいろいろなことを教える学校であると思います。

 明日の未来を担う子供達の可能性を伸ばし、平和の大切さや様々な

 事を教えるという事は、大変ながらも尊い仕事だと思います。


 どうかこれからも、平和の尊さを皆様に伝え、我が夫である龍王、

 そして私を助けてください。

 桜龍の皆様に金の龍の祝福がありますように。」


慧がそう言うと、一斉に桜龍は身を平伏した。


余談であるが、その言葉に感動した桜龍達は

ミサの最後に平和への祈りを必ず追加することにした。

ミサが終わると、桜龍達は、慧に握手を求めた。

握手が終わると、既に日が高くなっていた。




「ケイ様、申し訳ございません。

 おやすみする時間もなくなってしまいました。」

ニコライが言うとおり、慧は急いで次の目的地紫龍のパワースポットに

行かなければならなかった。



イアンに抱かれて移動しているうちに慧はうとうとしはじめ、

ルネとルイの姿が見え、イアンからルネの腕の中に移っても

起きることもなくすやすや眠っていた。




「パワースポットで元気になったんじゃないのかな?」

ルネが言うとイアンが黄龍のところでの出来事と

朝から慧が忙しかった話をした。


「まあ、紫龍のパワースポットなら少しはゆっくりできるだろう。」

ルネは慧を見つめてそう言うと、ルイに目配せをして

イアンとニコライに別れを告げると西の空へ消えた。




ルネとルイは、ある山の中腹に作られた大きなロッジ風の建物の前で人型になり

慧を起こした。


「う・・・ん・・・あれ〜〜ルネとルイだあ。」

まだ目が覚めきってない慧は嬉しそうにへにゃっと微笑んだ。


「ケイ・・ほら起きなきゃ。」

ルネはそう言いながら、慧を地面に降ろすと

慧はようやく目が覚めたようだった。


「ここどこ?」目をこすりながら言うと

紫龍親子は心の中で同じ言葉を呟いていた。



・・・なんだ、この可愛さは・・・



ルネは小さく咳払いをして目の前の建物を指して言った。


「ここが紫龍のパワースポットの入り口だ。

 この建物で着替えてパワースポットに入る。」

ルネはそう言いながらスタスタと中に入って行った。

あらかじめ来ることを予約していたからか、

すぐに個室に案内される。



しかし、そこは本当に棚と椅子があるだけの部屋で

黄龍のところみたいなベッド等の寝具はない。

ルネとルイはそこで衣服を脱ぎ

薄い作務衣のような服を着る。



慧も慌てて服を脱いで白い作務衣のような服を着た。

部屋の外に出るとルネは長い廊下を歩き階段を下りた。

そこには、この建物を管理しているらしい

紫龍がにこやかな笑顔で待っていた。


「ルネ様いつもの個室でよろしいですね。」


ルネが頷こうとした時、慧が大きな声で言った。

「え〜〜〜大部屋って楽しそうだよね。そこにしたいなあ。

 いいよねぇ。決定!ルイ行こう!!」


ルネはピキリと固まった。

大部屋というものはどんなところかルネも入ったことが無いからだった。




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