獅子抱く天使

   2 天使の傍らに見つけた処 −7−

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「佐々木ちゃん、戻って来たの?」

菅生は、そう言いながらカップを2つ出すと

コーヒーをいれてテーブルの上に置いた。


「佐々木ちゃんは、やめてください。」

佐々木は、顔を顰めながら椅子に座ると

温かいコーヒーに口をつけた。

「しかし、馨は本当にすごい子だよな。」

嬉しそうに菅生が目を細める。


夕食会の数日後、菅生は馨を事務所の地下道場に案内して

一戦を交えた。

「まさか・・・俺が負けるとは思わなかった。」

馨が特別なことをしたわけでない。

柳のように菅生の攻撃を避け、気がついたときは

首筋に針のような武器を当てられていた。



周りからみたら、それは大したことではないように思う。

しかし、対峙していた菅生にはそのすごさがよくわかった。

「そして、会長の問題もあっさりと解決だものなぁ。」

「会長の問題って何ですか?」

「ああ。会長の私的な問題だ。

 知っているのは俺だけだろうな。

 だから、会長は本家に近づかなかったのさ。

 いよいよ、会長は馨ちゃんを手放さないぜ。」

菅生はそう言うとシニカルに微笑んだ。






「あ・・・・・ん、大樹さん・・・・。」

潤んだ目で馨は上村を見あげた。


「まだ、触ってないのにこんなに熱くなって。」

そう言いながら上村は馨の胸の飾りを甘噛みする。

「ひ・・・ろ・・・き・・・さん・・・もうだめ。」

馨は眉をひそめて泣きそうになりながら首を小さく振る。


「だめ?」上村は少し意地悪そうに聞いた。

「はや・・・く・・・おね・・がい・・・」


「お願いって?」上村は馨の楔をさっと撫でながら言った。

「き・・・て・・・・おねがい。」

馨は羞恥のあまり真っ赤になりながら言った。



上村はクッと喉で笑うと一気に馨の奥に熱く反りあがった楔を

つきあげた。

「あ・・・ん・・・・」

馨は夢中になって上村にしがみついた。

「ほら・・・馨・・・ここ気持ち良いんだろう。」



耳元でそう囁きながら上村は馨の良いところを責めあげる。

「あああ・・・・ああひ・・ろき・・・さ・・・も・・・う」

「ほら、馨。いきな。」

上村が馨自身を弄りながら腰を突き上げると、

馨は絶頂まで一気に駆けあがった。

「はあ・・・ああん・・・ああ・・・・ん」

同時に馨の中がぎゅっと締まり、果実から熱い精がほとばしる。



上村も、そのままさらに強く腰をつきあげ

ぐったりした馨を抱きしめながら熱い精を奥にはなった。



上村は、シャワーを浴び馨の後処理をすると、

再びベッドに入り馨の肩を抱き寄せた。

馨の額にキスを落とすと馨が上村の方に擦り寄ってくる。

「はなせねーな。」

上村は小声で呟いた。



上村は両親を3歳に亡くした。

その後、上村を育ててくれたのは年の離れた兄だ。

兄は、若いときから本家の組長に気に入られ

出世を重ねていった。


しかし、同時に家に帰らない日が続いた。

上村の面倒を見てくれるのは家政婦などの

他人ばかりで、幼心にそれはそれは寂しいものだった。

そして、兄は上村が私立の中学校の寮に入るのと同時に

本家の娘に婿入りした。


そして上村は兄にほとんど会うことが無くなった。

その頃、荒れていた上村は学校を抜け出して

幼馴染の菅生と暴走族を作り、あれよあれよと言う間に

関東一のチームになってしまった。


強くなりたくて、兄が通っていた道場に菅生と上村も通っていたが

既に兄はもう遠くの存在であった。



大学を出て、兄と同じ職業についたのは

兄を見返すためだったのかもしれない。

着実に力をつけた上村を兄は認めてくれたが

そこには、兄弟の絆など無かったように思う。



しかし、ひょんなことから上村は兄とその妻紅子の本音を知ってしまう。

それは、馨だ。

馨は紅子ちゃん物語と言って、恋する女の子の

かなりドジなお話をしてくれた。



そして、武道の師匠のことを尊敬していて、いつもその師匠の話や言ったことを

話してくれた。その話の中でその師匠は年の離れた弟を

大切に思っていたことが上村にも伝わってきていた。


先日、その話が自分の兄とその妻、紅子のことだとわかった時、

ずっと胸につかえていたものが一気に取れた気がした。





「う・・・・ん・・むにゃ・・・。」

馨はまだ起きる気配がない。



レースのカーテンから柔らかく照らしている光が馨の顔を

照らしている。

「俺の休む場所・・・か・・・。」

上村は、そう言いながら馨を抱き寄せながら目を閉じた。



 
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