君と共に紡ぐ調べ

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ナバラーンの国のどこかで

子供がお母さんに昔話をせがみました。

お母さんは、子供に話をしはじめました。





龍の国。ナバラーン。

この国は、金色の龍が作りました。

金色の龍は、初めに龍を作りました。

その龍の色は、蒼・紅・黄・翠・闇・桜・白・紫。

金色の龍は作った龍に話しかけました。

「お前達はどんな力が欲しいか?」

蒼い龍が答えました。

「私は、皆を癒したい。皆を病気から守りたい。」

紅い龍が答えました。

「私は、全ての災厄から皆を守りたい。その力が欲しい。」

黄の龍が答えました。

「私は、皆の橋渡しをしたい。皆が幸せに暮らせるように。」

翠の龍が答えました。

「私は、海と風と友になりたい。このナバラーンが風に吹きさらされないように。」

闇の龍が答えました。

「私は、死後の導き手になりたい。皆が死んでも尚幸せであれるように。」

桜の龍が答えました。

「私は、自然や緑を守りたい。」

白い龍が答えました。

「全てにおいて公平な目が欲しい。このナバラーンの治安をまもるために。」

紫の龍が答えました。

「皆を楽しませたい。皆の笑顔が好きだから。」

金色の龍は答えました。

「全て、皆の望むままに。」

こうして、金色の龍はそれぞれの龍に力を授け、ナバラーンの王になりました。

しかし、時がたつことにより、金色の龍はとても孤独になりました。

それは、8人の龍が家族を作ったからです。

金色の龍は、家族を作りたくて

異世界に渡り最愛の人を見つけました。

最愛の人も金色の龍を追いかけナバラーンに来ました。

そして、金色の龍と結婚しました。

金色の龍は最愛の人に自分の力を分け、2人でナバラーンを治めました。

8人の龍は2人を最期まで支え続け、皆が幸せに暮らしました。

めでたし。めでたし。








遥か空の上で、その話を目を細めて聞いている2人がいました。

1人は、金色の髪に濃い琥珀色の目、光が当たると金色に目が光ります。

もう1人は黒い髪に黒い目。

2人は雲の上で寝転びながら微笑みあいました。

「この話には続きがあるのにね。」黒い髪の男が言いました。

「ああ、続きはこうだ。金色の龍は、天に昇る時言いました。

 我は自分の後継者ができるまでこの世界。ナバラーンを見守ろう。

 そして、後継者ができた時、新たな歴史が始まるだろう。」

金色の髪の男が言いました。



「そして、新しい歴史は始まった。さあ、リュート。異世界にでも遊びに行こう。」

黒い髪の男がそう言うと金色の髪の男は立ちあがり、

一瞬で金の龍になりました。黒い髪の男は金の龍にまたがって言いました。

「リューゼ・慧、ナバラーンを頼むよ。」

金色の龍は空の彼方に消えました。






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