眠る君へ捧げる調べ 番外編
  
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最近恒例となっているのは、龍の当主達と銀の龍、そして慧で

夕食を食べるということで、これは慧が

「皆で食べるご飯はおいしいよね。」とひとことではじまったものだ。

慧は、ついつい嬉しくて毎日、席を替えて座っている。



今夜の隣は黄龍の当主、ロベルトで話し上手なので慧も楽しく食事をしていた。

ふと、慧はロベルトが飲んでいるものに目をやって聞いた。

「ロベルト?それなに?」

ロベルトは何気に答えた。

「これは、我が国アイールの特産品の酒だ・・。」

「酒?」

慧の目がキラリーンと輝いた。



実は慧は元の世界では結構酒が好きだったのだ。

「ちょっと飲ませてよ。」

ロベルトが面白そうにグラスを差し出した。



慧が飲もうとしたとき、ファルがたちあがって言った。

「ケイ、飲んじゃいけない!!」


「へっへーん。飲んじゃった。」慧は上機嫌で答えた。

既に顔は真っ赤だ。

「いいじゃねーか。男は酒くらい飲めねーとなぁ。」

ロベルトもそう言う。



慧はニコニコしながらたちあがって言った。

「な〜〜んか暑いや・・脱いじゃえ〜〜。」

そう言いながらシャツを脱ぎながら、窓を開けて

歌を口ずさむ。



「まずい!ジーク結界を!」

ファルが叫ぶより早くガサガサという音が聞こえた。




次の瞬間、その開け放たれた窓から何十羽という鳥の大群が

部屋に入ってきてさえずり始めた。

あわてて、ジークとフェルが結界を掛ける。



慧は自分の着ていた服をブンブン振り回しながら

大きな声で歌を歌っている。

どうやら、慧の歌う歌は動物受けするらしく

鳥達のさえずりも綺麗と言うよりはうるさいという感じだ。

「何なんだ!これは」

耳を塞ぎながらロベルトが呟いた。



「とにかく、鳥を移動させなくては。」

リューク、ファル、ジャン、ロベルト、イアン、ニコライは、

バケツリレーのように鳥を1羽ずつ、隣の部屋の窓から逃がした。

その窓の横にフェルが移動して鳥が再び入って来ないように結界をかける。



一方、慧は鳥達が残した羽根に蹲って大の字ですーすー寝始めた。

「まったく、平和そうに眠っているぜ。」

ようやく鳥を窓から逃がしたジャンが慧の鼻を指で弾きながら言った。

「ジャン、掃除しなきゃいけませんよ。」

ニコライがモップのようなホウキをジャンに渡しながら言った。


「とにかく、ケイには今後酒を呑ませてはいけないな。」

ジークはそう呟くと皆が頷いた。

次の日の朝、妙に笑顔なファルに苦い薬湯を飲まされて

慧が悲鳴をあげたとか・・・。





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