眠る君へ捧げる調べ 番外編
  
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「ファル、今よろしいですか?」

「ニコライ。ちょうどお茶にしようと思っていたのですよ。

 どうかしましたか?」

「今、初代の龍王の妃様の日記を読んでいまして双六なるものの

 遊びを克明に書いておりまして・・。」


「何ですか?そのす・・ごろ・・くとやらは?」

「ケイ様に何気に聞いてみましたら、サイコロをふってコマを進める

 ゲームと言っておりました。それで、その盤を手作りしてみて

 ケイ様を喜ばせたいと・・・。」


「それは、良い考えですね。私もお手伝い致しましょう。」

ファルもにっこりと微笑んだ。




「そう言えば、寒くなってきたなあ・・この前、クリスマスが終わった

 としたら、今日当たり向こうでは正月か・・・。

 おせちなんてと思っていたけど・・和食食べたいなあ・・・。」

ケイは、曇っている窓ガラスにへのへのもへじを書きながらそう言った。



「ケイ様?よろしいですか?」

ノックをして入って来たのは、ニコライだった。

「どうしたの?」

「あのですね。先日教えていただいた、双六を作ってみましたので

 是非一緒にどうぞ。」

慧は、内心双六かあと思っていたがニコライの気持ちが嬉しくて

一緒にやることにして部屋を出た。



「ケイ、さあやりましょう!!」

近くの部屋にはいつものごとく、ファルとジーク、ジャンがいた。

大きなテーブルの上に大きな紙が敷いている。

慧はその紙を見て目を丸くした。

「双六にしちゃでっかい紙だよね。」

「そうかな?まあ、大は小を兼ねるですよ。」

ファルがそう言いながら微笑んだ。



「それで、駒は?」慧が聞くとジークが微笑んで言った。

「駒はこれだ!」

懐から出したのは、まだよちよち姿のクーニャが5匹だ。

「へっ?駒生きてるの?」

「駒だから、馬だと聞いて小さな馬はいないからこれにしたのだが・・・。」

だから、紙が大きいのだと妙に納得した慧だった。

「このクーニャは、聖獣の子だからな。とても賢いのだ。」

そんなジークの言葉に従って小さなクーニャはスタートと書かれた場所に並んだ。



「慧様からどうぞ。」

ニコライに言われて慧はサイコロを振る。

「あっ。5だ!」

慧が言うと金色のリボンをつけたクーニャがトコトコ5マス進んだ。



「何・・・何・・・リュークが来て膝抱っこしてくれたので眠くなってひと休み。」

金のクーニャはそこでクークー眠り始めた。

「こ・・れは・・・すごいかも・・・。勝つぞーーー!!」

と慧は叫んだ。

(※慧は負けず嫌いです)



「このゲームひと休み多いよね。」

しばらくプレーしながら慧が呟いた。


現在、ファルは「リュークに仕事を押し付けられてひとやすみ。」

ジークは「聖獣が怪我をして看病をする。ひとやすみ。」

ニコライは「部屋の整理整頓でひとやすみ。」

ジャンがサイコロを振ると「ロベルトからおつかいを頼まれてひとやすみ。」

になった。盤の上の小さなクーニャは全て丸くなって眠っている。



夕方、慧を探していたイアンが部屋の扉を開けて微笑んだ。

テーブルの上では小さなクーニャ5匹。


少し離れたソファには慧が横たわって眠っていた。慧の頭はジークの膝の上にあり

ファルは慧の足元に座って目を閉じている。

ジャンは慧の頭に手をやったまま眠り、ニコライは慧の手を握ったまま眠っている。

「いつも頑張っていますからね。ゆっくりおやすみなさい。」

イアンは、暖炉に薪をくべると皆にブランケットをかけて静かに部屋を出た。





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